サトリーマンのつぶやき。

悟りきれない悟り世代、23才。 バンクーバーで大学生をやっていましたが、本帰国しました。来春から不動産デベで就業開始予定。

日本叩きをする日本嫌いな日本人留学生達に物申す。あなたが本当に嫌いなのは日本なのか。

 

 

"あなたが本当に嫌いなのは、日本でも、日本人でもなく、あなたの日本人としてのアイデンティティ、あるいは日本人である、あなた自身ではなかろうか。" (まとめより)

 

目次

 

はじめに

元正規留学生の僕からすれば、日本人留学生はみんな仲間みたいなものだ。

色んなチャレンジを乗り越えながら、異国の地に根を張って逞しく生き延びてきた同志でもあると勝手に思っている。

 

それでも残念だなと思ってしまうのが、帰国してからとか留学中、さらには留学前にも日本の悪口を言い出してしまう人がいること。

  

今回は、日本人叩きをする日本人留学生達について書いてみようと思う。

 

1. 啓蒙家達

 一番まだ可愛らしいのが、一年ぐらいの交換留学で自称生まれ変わりを果たして、オンライン啓蒙活動に励みだす人達。

とりあえず#metoo movementに乗っかって、BLMが流行りだしたら黒い四角をインスタに上げてみる。

 

slacktivismの是非をここで問うつもりはない。

行動が大事という正論もきっと正しい。

しかし、自分の"ファッション"を他人へのマウントとして使うのはどうかと思う。

 

彼らは多少目に付くが、基本的に無害である。

 

一方で残念なのは、行動しないことは悪を認可しているのと同義だ、的なことを言い出してしまう人達。

とりあえずblack and white fallacyについてお勉強しようぜ、と思う。

 

西洋的な二極化思想で、全ての物事に白黒つけられるほど世界は単純じゃない。

 世の中には腐るほど色んな問題があって、あなたはその一つに着目しただけにすぎないのだ。

 

気候変動マーチに参加して、BLMのマーチに参加しなければ黒人差別主義者になるのか。

アフリカの子供のために募金をして、国内の災害救助のために募金しなければ非国民なのか。

 

ちゃうやろ。

 

自分達は常にグレーゾーンで、なんとか体裁整えながら生きている現実を忘れてはいけない。

 

2. 抗議活動家達

 

あとは薄っぺらい自称オンライン抗議活動家達。

 

いや、人権活動に熱心なのは素晴らしいことやけど、自分H&M着て、Nikeの靴履いてるやん。

 

ツッコミ待ち?

実はこれは高度なボケなん?

関西人としてそこはつっこまなあかんの?みたいな

 

一時IGのタイムラインを賑わせたBLM関連のストーリーも、もうほとんど見かけない。

たまに見かけても海外の友達のもので日本人のものではない。

 

 黒い四角をインスタにあげて、東京や大阪でマーチしたあとでも黒人の方は亡くなっている。

それでも今日、僕達は何事もなかったかのように、今日食ったものや、自分自身に関するどうでもいいことをストーリーに上げている。

それは"本場"の人達が特に大きなアクションを起こしておらず、自分達は所詮、彼らの追従者に過ぎないからではなかろうか。

 

それが絶対悪だとは僕は思わない。

世界を良くするための行動を起こすことは大切だ。

しかし、世界全体のマイナスなこと全部と向き合って生きていくのは無理がある。

 

ただ、"他人事"の問題をあたかも"自分達事"の問題かのように騒ぎ立て、さらにそれを周りの人間にも押しつけた挙句、最終的に自分も飽きて、それを"他人事"としてポイ捨てするのはいかがなものかと思う。

 

3. 教育専門家達

 

あと一番多いのは教育関係。

日本の教育はまじでクソ、日本の性教育は終わっている、日本の教育のせいで日本人がこんなんになってしまった、やっぱり海外の教育は進んでいる、もっと海外の教育を真似るべきだ等々。

 

確かに正しいし、僕も同じように感じる部分も多々ある。

でも、ちょっと待て。

 

日本の戦後教育の基になっている教育基本法は、敗戦国の日本がGHQ、つまりアメリカ様から押しつけられたものやで?

戦勝国アメリカ様に押しつけられた法律がベースの現在の日本教育をクソと呼び、そっからそのアメリカ様的な西洋教育を目指すのは皮肉すぎないか。

 

確かに日本の教育には、直すべきところがたくさんあると僕も思う。

しかし、アメリカ様のパクリでその問題は解決するのだろうか。

 

海外大でファンシーな教育学を学ぶのも悪くないが、もうちょっと目線を広げても良いのではないか、なんてひねくれたことも考えてしまう。

 

本当に賢くて真剣に教育について勉強されている方達が、上記のような薄っぺらいコメントをしているのは個人的に見た事がない。

 

4. アメリカ至上主義者達

 

さらに、アメリカ至上主義者達にも違和感を感じる。

 

"海外"ではBLMが盛んだから、let me teach you about the history of black peopleとか平気で言っちゃうし、「"海外"と比べて日本は、、」の文脈で使われる海外の多くがアメリカを指している。

 

いや、海外=アメリカはちゃうやろ。

 

小学生が「このおもちゃ、みんな持ってるから買って!」という時の"みんな"が、実際にはクラスの全員では無かったのと同じレベル。

 

 

確かにBLMのラリーは世界のあちこちに広がったが、それでも北米とヨーロッパ圏で行われたものが大半を占めている。

https://www.aljazeera.com/indepth/interactive/2020/06/mapping-anti-racism-solidarity-protests-world-200603092149904.html

 

 

この分布図は日本人がどこの国のことを、"海外"と思っているのかを反映しているようにも思う。

 

それと比べたいのが、こちらの気象変動に関するマーチの分布図だ。

https://www.kikonet.org/kiko-blog/2019-03-14/3394

 

http://www.labornetjp.org/news/2019/0920kokuti

一概に比較することは難しいが、こちらの方が"世界"の人が関心を持っている"世界的な"問題であることは一目瞭然だ。

 

黒人差別問題が気候問題と比べて大したことないと言っているのではない。 

 

しかし、この"海外"と"アメリカ"の、詐欺師まがいのすり替えはいかがなものだろうか。

そもそも黒人差別とpolice brutalityの問題もすり替えられているように感じるが、それに関してはここでは触れないでおく。

 

さらに自分がアメリカに住んでるなら、アメリカのことを知ってるのは当たり前だし、アメリカで起きていることに疎い日本人にマウントとるのも違うのではないか。

ハロウィンではシルバーバックのゴリラか、インディアンにキリスト教を押し付ける宣教師のコスプレでもしてんのかなと疑ってしまう。

 

「自分の周りには黒人がいないから実感がわかない」

「自分ごとの問題として捉えにくい」

といった日本人のコメントを批判している日本人留学生達を見てきたが、上図を見れば、むしろそちらの方が"グローバルスタンダード"なのではなかろうか。

 

黒人差別の歴史について学ぶのはもちろん大事だ。

しかし、これを"世界の問題"として、正論を振りかざしてマウントをとるのは、いささか乱暴な気がする。

 

でも、それはある程度仕方のない事なのかもしれない。

俺たち日本人はちっちゃい頃から、アメリカ=外国という価値観の中で生きてきたからだ。

実際、海外映画とか呼ばれているものの多くがアメリカのものだ。

 

洋画や洋楽の「洋」は西洋の洋であって、世界を指すわけではない。

しかし、実際僕らはこれらを海外の映画、海外の音楽とカテゴライズしてはいないか。

さらに外人といえば、基本的に白人のアメリカ人のことを指す場合が多いだろう。

僕はそうだったし、今も意識しなければそう考えてしまう。

 

そういう意味では、僕たちは無意識のうちにAmericanizedされていて、日本という国はAmericanization先進国なのだろう。

 

 

まとめ

ここまで結構ボロクソに書いてしまったが、そこそこ精細に書けるのは自分にも心当たりがあるからだ。

 

海外出てきてる時点で日本のどこかが嫌いな人が多いこともあるし、海外と日本を比べて日本の批判をしたくなるのも非常に分かる。

自分も実際に何回か特定の事項に関する批判はやったことある。

 

今だって「なんで駅でクレジットカード使われへんねん。遅れすぎやろ」とかぶつぶつ言っている。

 

別に特定の個人を批判するつもりはないし、みんな自分の意見があって良いと思う。

さらに、みんなそれぞれの人生のタイムライン上の違う場所にいるということもある。

 

みんな違ったバックグラウンドを持っていて、違う経験をしてきた。

それによって違う考えを持つのは当たり前のことだ。

 

ただ僕がどうしても気になるのは、自分が当たり前と思うことに"グローバル基準"という名の自分基準のラベルを勝手に貼り付けて、あたかも自分の意見が絶対的な正論かのように振りかざしてしまう留学生が多いことだ。

 

あなたは真の多様性を身に付けたのではなく、ただ単に違う国の価値観に影響を受けただけではないのか。

 

もっと深く踏み込めば、あなたが本当に嫌いなのは日本ではないのではなかろうか。

 

非常にセンシティブな問題なので慎重に議論したいところだが、日本人留学生、特に正規留学生の中には日本でネガティブな経験をしてきた人が非常に多い。

 

家族に問題があった、学校でいじめられた、自分のアイデンティティに関することで悩んでいた、日本社会で上手くやれなかった等々。

 

かくいう自分も日本でいじめられたことがあるし、日本の進学校で落ちぶれたことがきっかけで海外に出てきたような節もある。

お世辞にも日本でめっちゃ上手くやれていたとは言えないだろう。

(それでもやっぱり日本が好きで、日本に帰ってきたが笑)

 

というか、そもそも日本が心地良ければわざわざ膨大なリスクを背負って、正規留学をしようなどと血迷ったことを決断しないはずだ。

 

そういった意味では、日本人留学生の多くが"外れ組"や"イカれポンチ"であるのは、むしろ当たり前なことなのだ。

 

平和な野原で楽しくピクニックできる人間は、超高額な料金を支払って、線路の先が見えないセーフティー装置なしのセンターオブジアースに飛び乗って宝石を探しに行くといった、とち狂った真似はしない。

 

正規留学生あるあるだが、「留学いいなー」「自分もしたかったなー」と言われるたびに違和感を感じる。

彼らは正規留学生の日常を知らないし、どれだけの留学生が途中で消えたり、ジャンクになったりするかもしれない。

 

そんな中で、正規留学生達が生き延びる意志を保つモチベーションの一つが「日本に帰りたくない」「まだ日本に帰れない」「日本にいるよりはマシ」「日本にいるク○野郎どもを見返したい」といったネガティブなものだったりするのだ。

 

世の中、綺麗事だけでは生きていけないし、正より強い負のパワーで乗り切ることで生き延びられることも多々ある。

 

しかし、そればかりに頼りすぎてしまって、自分の中のネガティブなパワーが強くなりすぎてしまって、その反動が"日本叩き"という形で出てきてしまうのは残念だと思う。

それでは根本的な問題はいつまでも解決しない。

 

あなたが本当に嫌いなのは、日本でも、日本人でもなく、あなたの日本人としてのアイデンティティ、あるいは日本人であるあなた自身ではなかろうか。

 

弱い自分を許せない、上手くやれない自分を許せない、親を許せない、社会を許せない、自分は悪くない、自分は正しい、こういった自分の中のドロドロと向き合って浄化することでしか前に進めないと僕は考える。

 

「全然関係ないやん」

「自分はそんなんちゃうし」

と思われる方も多いだろう。

実際そうなのかもしれない。

 

しかし、今一度考えて欲しい。

それはただの自己防衛的な反応ではないのか。

 

"正論"で人をぶった斬ろうとするのは、自分が正しいか分からないからではないか。

他人を責めたくなるのは、自分自身のことを自分で認められないからではないか。

他人を批判するのは、自分のことを認めて欲しいからではないか。

 

いくら日本を叩いても、自分の日本人としてのアイデンティティは消えない。

いくら日本人を批判しても、自分の中の日本人らしさは殺せない。

いくら"海外"の価値観を身に付けても、上辺だけの変化では意味がない。

 

メイクやファッションを変えたって、外人と付き合ったって、海外に移住したって、インスタの投稿を全部英語にしたって、自分自身に嘘は付けないのだ。

 

一番大事なのは自身のコアの部分だからだ。

 

まずは自分自身としっかりと向き合って、自分を許して、自分を認めてあげるべきなのではないかと僕は思う。

そうすることで、日本や日本人、そして自分自身への見方も変わってくるはずだ。